剪除法によるわきが治療
剪除法とは
剪除法は、健康保険適応のわきが(腋臭症)手術で、アポクリン汗腺をはさみで切除していきます。
わきがは皮下の比較的深い所に存在するアポクリン汗腺が原因です。
そこで、わきの下の有毛部(脇毛が生えている範囲)の中心に、4〜5cm程の横切開を加え、皮下を広く剥離し、その皮膚を反転させ皮下のアポクリン汗腺を露出します。目で確認しながら、皮下組織をアポクリン汗腺諸とも切除します。最終的に皮膚は弁状になるため、この手術法は皮弁法と呼ばれています。アポクリン汗腺を切除した後、皮弁が元に戻るようにタイオーバーで固定をします。
剪除法によるワキガ治療の欠点と利点
剪除法によるワキガ治療のメリット
剪除法によるわきが治療は、腋臭症の診断が出ると健康保険適応となります。
剪除法によるワキガ治療のデメリット
目立つ傷跡が残る可能性が高いことです。また、手術後の固定期間が長いため肩関節が辛いと感じる時期があることでしょう。
剪除法によるわきが手術の術後経過
剪除法によるわきが手術は、術後4日から5日でタイオーバーを除去し、術後5日から7日で包帯を外します。
抜糸は、術後2週間で行ないます。抜糸後しばらくは、傷跡が不安定になりますが、いずれ落ち着いてきます。
手術後次の日から包帯部を濡らさないように洗髪や下半身のシャワー浴が可能です。包帯除去後からは全身のシャワー浴が可能になります。
剪除法による傷跡は、1〜2ヶ月は安定しません。また、硬さや赤みが強くでることがあります。傷がなかなか塞がらないこともありますが、じっくり様子を見ていきましょう。
剪除法による傷跡は、一見かなり汚いあるいは酷いように見えますが、6ヶ月も経過すると思いの他綺麗に仕上がります。
傷跡が完全に落ち着くのには、1年程度要します。
脇の下の皮膚は特殊です。この部位では相当に酷い衝撃を受けても傷跡が残りにくい場所なのです。
剪除法によるワキガ手術の詳細情報
施術時間 | 1時間程度です。 |
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施術後の通院 | 術後4〜5日にタイオーバーを除去。術後5〜7日で包帯を外し抜糸は2週間後に行います。 |
腫れについて | 1〜2ヶ月で退いてきます。 |
カウンセリング当日治療 | 可。 |
入院の必要性 | 不要 |
麻酔 | 局所麻酔 |
リスク(合併症・副作用 等)
- 感染
- 細菌やウイルス等による炎症。
- 血腫
- 術後、皮下や臓器からの出血が起こり、血液が貯留することです。
- 出血
- 術後やや多い量の出血を見ることです。
- 内出血
- 術後概ね起こる皮下の血液の組織への浸透で、自然に吸収されます。
- 瘢痕(創跡)
- 全ての皮膚切開創は、多少の傷痕が残ります。肌質的に目立つ人もいます。
- 肥厚性瘢痕(ケロイド)
- 傷痕の中でも、膨らみや硬さが強いものです。原因は、遺伝性のため術前には防御することができません。ただし、治療法がございます。
- 色素沈着
- 瘢痕の一つですが、色素(メラニン)の沈着が主な原因です。
- アレルギー
- 薬剤が原因のものが多いのですが、金属やテープ等でも発症することがあります。
- 予定形態との差
- なるべく患者さまの意見は取り入れるようにしますが、完全な表現は無理がある場合があります。
- 微妙な左右不対称
- 人間の体は左右不対称であるため、手術後にも左右不対称は起こりえます。
- 皮膚壊死
- 皮膚熱傷
- 脇毛の脱落
- 瘢痕拘縮による肩関節の可動域障害
- 発汗異常
剪除法の手術費用
項目 | 治療内容 | 金額 (消費税込) |
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剪除法 | 健康保険適応 |
剪除法によるわきが手術デザイン
剪除法によるわきがの手術のデザインは、腋毛の発生範囲より一回り大きな範囲をマーキングします。
手術範囲の中心に近いところで、脇の下のしわの最もはっきりした所を切開線とします。
切開は4〜5cm程度ですが、傷が十分落ち着くとしわに隠れるため脇の下の筋やしわのような傷跡となります。
皮膚切開と皮下剥離
皮膚を切開すると同時に予定範囲の皮下を剥離します。
剥離する層は、脂肪層の浅い部分です。
剪除
皮弁をひっくり返し皮下組織を剪で一つひとつ切除していきます。これを剪除法といいます。剪除法は、皮弁を形成することから「皮弁法」とも呼ばれています。
はさみで丁寧に一つ一つ切除していきます。
傷の縫合とタイオーバー
十分アポクリン腺を切除したら手術を終了します。
傷を丁寧に縫合するとともに細いドレーン(廃液管)を挿入しタイオーバーを施します。
タイオーバーとは、傷を面で圧迫するためガーゼ等を皮膚に縫い込み、持続的に圧迫が掛かるようにする工夫です。
包帯
包帯は強く絞まらないように丁寧に巻き込みます。
健康保険でできるわきが治療
わきがの症状がしっかりある場合、これを健康保険では「腋臭症」という病名で表現しています。
もちろん、専門医が診察し診断を下しますので、ご自分が「わきが」と思っていても、専門医が「腋臭症」と診断しない限り、病的とはなりません。
ここで医師が、「わきが=腋臭症」と診断した場合、剪除法という手術法であれば健康保険が適応されます。この治療は古くから行われていて、わきが治療の基本にもなっています。
剪除法の欠点として、傷跡がやや長くなったり、ちょっと目立ったりすることがあげられます。
両側のわきがの治療費は、患者さま負担分で概ね4万円といったところです。