まぶたの解剖学
まぶたの解剖図
まぶたを開けたとき(開眼時)
前頭骨(おでこの骨)は、眉毛の部分から大きく窪んで眼窩を形成します。
眼窩は、下方では頬骨につながります。
この窪み(眼窩)の中に眼球が入っています。
角膜・網膜
眼球の表面は角膜といって、透明なやや硬い膜があります。その奥には虹彩というカメラでいう「しぼり」があり、光の調節をしています。
日本人は、メラニンにより茶色を呈しますが、白人の場合はメラニンが少ない為グリーンやブルーの色合いを呈します。
その裏にレンズ(水晶体)があり、網様体筋によりその厚さを変えて、像を網膜に投影します。
これにより私たちは「見る」という感覚が生まれるのです。
この角膜を外界から守るのが眼瞼(まぶた)です。
眼瞼結膜は、眼瞼が角膜と接する側(まぶたの裏側)にあります。
結膜・瞼板(タルザス)
結膜は、毛細血管が豊富に存在し角膜への酸素や栄養の補給に関係します。
結膜が角膜と良く密着するように瞼板(タルザス)という組織が存在します。
瞼板は、結膜のすぐ裏に存在する結合組織で、やや硬い支持組織です。
眼瞼の最外層は皮膚ですが、おでこから眉毛までの皮膚の厚さに比べ睫毛近くの眼瞼皮膚はとても薄くしなやかにできています。これは、眼瞼皮膚が細かいしわを作りながらたくし上げられることによって、開眼ができます。
眼瞼挙筋・眼輪筋
開眼の動力となる筋肉は眼瞼挙筋です。
眼瞼挙筋は、上眼窩の奥に存在し、瞼板という筋肉の力を伝える膜によりつながります。
目を開ける動作では、この眼瞼挙筋のほかに前頭筋(おでこのしわを作る筋肉)が関係しています。にらむように目を開ける場合は挙筋だけを使っていますが、眉毛を挙げるように目を開く場合は眼瞼挙筋と前頭筋を使っているのです。
逆に閉眼の動力は、眼輪筋が対応します。眼瞼皮膚の直下に存在する極めて薄い筋肉で、まぶたの周囲を同心円状に取り囲みます。そのため老化によって、眼輪筋の力で目尻のしわ(カラスの足跡)ができてしまうわけです。
挙筋が働くベクトルは内上方ですから、挙筋を働かせ目を開けると上まぶたは上へ上がるとともに奥へ引き込まれようとします。
この時、索状組織の上眼瞼皮膚での付着点で一般的には、二重まぶたが形成されます。
しかし、蒙古民族のように上まぶたの皮膚が厚く硬い場合や、瞼板前脂肪がたっぷりしていると二重が形成されなくなります。
眼窩脂肪
眼球は、眼窩内では、硬い骨に囲まれています。そこでショックアブソーバーとして眼球をプロテクトしているものに眼窩脂肪があります。
眼窩脂肪は、上方と下方でそれぞれ上の瞼板と前頭骨、下の瞼板と頬骨を結ぶ眼窩隔膜という強靱な膜でその脱出を防いでいます。
しかしながら、加齢とともに眼窩脂肪は下方移動し眼窩隔膜は脆弱化し、おしよせる眼窩脂肪を堰き止められなくなりサンケンアイズや下まぶたの弛み、膨らみを形成してしまうのです。
ミューラー筋
ミュラー筋は、まぶたの裏側にあります。
ここが弱まると眼瞼下垂症の原因となります。ミュラー筋の損傷は、まぶたの弛みや眼瞼下垂症につながるだけでなく肩こり、腰痛などの原因になるともいわれています。
まぶたを閉じた時(閉眼時)
まぶたを閉じるには眼輪筋が関与します。
閉眼とともに眼球は上転して若干上を向くようになります。
この反射により閉眼時角膜は、上眼瞼の結膜にしっかり触しその毛細血管から酸素や栄養を補給しやすくしているのです。