まぶたの解剖学

まぶたの解剖図

fig1.まぶたの部位

まぶたを開けたとき(開眼時)

前頭骨(おでこの骨)は、眉毛の部分から大きく窪んで眼窩がんかを形成します。
眼窩がんかは、下方ではほお骨につながります。
この窪み(眼窩がんか)の中に眼球が入っています。

fig2.角膜、虹彩、眼球結膜
fig3.まぶたの構造

角膜・網膜

眼球の表面は角膜といって、透明なやや硬い膜があります。その奥には虹彩というカメラでいう「しぼり」があり、光の調節をしています。
日本人は、メラニンにより茶色を呈しますが、白人の場合はメラニンが少ない為グリーンやブルーの色合いを呈します。
その裏にレンズ(水晶体)があり、網様体筋もうようたいきんによりその厚さを変えて、像を網膜に投影します。
これにより私たちは「見る」という感覚が生まれるのです。

白人の目の色の例
fig4.白人の目の色の例

この角膜を外界から守るのが眼瞼がんけん(まぶた)です。
眼瞼結膜がんけんけつまくは、眼瞼がんけんが角膜と接する側(まぶたの裏側)にあります。

fig5.眼球のしくみ

結膜・瞼板(タルザス)

結膜は、毛細血管が豊富に存在し角膜への酸素や栄養の補給に関係します。
結膜が角膜と良く密着するように瞼板けんばん(タルザス)という組織が存在します。
瞼板けんばんは、結膜のすぐ裏に存在する結合組織で、やや硬い支持組織です。
眼瞼がんけんの最外層は皮膚ですが、おでこから眉毛までの皮膚の厚さに比べ睫毛近くの眼瞼皮膚がんけいひふはとても薄くしなやかにできています。これは、眼瞼皮膚がんけんひふが細かいしわを作りながらたくし上げられることによって、開眼ができます。

fig6.結膜・瞼板(タルザス)

眼瞼挙筋・眼輪筋

開眼の動力となる筋肉は眼瞼挙筋がんけんきょきんです。
眼瞼挙筋がんけんきょきんは、上眼窩じょうがんかの奥に存在し、瞼板けんばんという筋肉の力を伝える膜によりつながります。
目を開ける動作では、この眼瞼挙筋がんけんきょきんのほかに前頭筋ぜんとうきん(おでこのしわを作る筋肉)が関係しています。にらむように目を開ける場合は挙筋だけを使っていますが、眉毛を挙げるように目を開く場合は眼瞼挙筋がんけんきょきん前頭筋ぜんとうきんを使っているのです。
逆に閉眼の動力は、眼輪筋がんりんきんが対応します。眼瞼皮膚がんけんひふの直下に存在する極めて薄い筋肉で、まぶたの周囲を同心円状に取り囲みます。そのため老化によって、眼輪筋がんりんきんの力で目尻のしわ(カラスの足跡)ができてしまうわけです。

fig7.眼瞼挙筋・眼輪筋

挙筋が働くベクトルは内上方ですから、挙筋を働かせ目を開けると上まぶたは上へ上がるとともに奥へ引き込まれようとします。
この時、索状組織さくじょうそしき上眼瞼皮膚じょうがんけんひふでの付着点で一般的には、二重まぶたが形成されます。
しかし、蒙古民族のように上まぶたの皮膚が厚く硬い場合や、瞼板前脂肪けんばんまえしぼうがたっぷりしていると二重ふたえが形成されなくなります。

眼窩脂肪

眼球は、眼窩内がんかないでは、硬い骨に囲まれています。そこでショックアブソーバーとして眼球をプロテクトしているものに眼窩脂肪がんかしぼうがあります。
眼窩脂肪がんかしぼうは、上方と下方でそれぞれ上の瞼板けんばん前頭骨ぜんとうこつ、下の瞼板けんばん頬骨ほおぼねを結ぶ眼窩隔膜がんかかくまくという強靱な膜でその脱出を防いでいます。
しかしながら、加齢とともに眼窩脂肪がんかしぼうは下方移動し眼窩隔膜がんかかくまく脆弱化ぜいじゃくかし、おしよせる眼窩脂肪がんかしぼうき止められなくなりサンケンアイズ下まぶたの弛み、膨らみを形成してしまうのです。

サンケンアイズで下まぶた垂れ込み型の症例
サンケンアイズで下まぶた垂れ込み型の症例
上まぶた垂れ込みの症例
上まぶた垂れ込みの症例
fig8.サンケンアイズと上まぶたの垂れ込み

ミューラー筋

ミュラー筋は、まぶたの裏側にあります。
ここが弱まると眼瞼下垂症がんけんかすいしょうの原因となります。ミュラー筋の損傷は、まぶたの弛みや眼瞼下垂症がんけんかすいしょうにつながるだけでなく肩こり、腰痛などの原因になるともいわれています。

fig9.ミューラー筋

まぶたを閉じた時(閉眼時)

まぶたを閉じるには眼輪筋がんりんきんが関与します。
閉眼とともに眼球は上転して若干上を向くようになります。
この反射により閉眼時角膜は、上眼瞼じょうがんけんの結膜にしっかり触しその毛細血管から酸素や栄養を補給しやすくしているのです。

fig10.まぶたを閉じた状態
fig11.下瞼のしくみ