眼瞼下垂手術
(挙筋腱膜短縮術)
眼瞼下垂とは
眼瞼下垂の手術は、切開式二重まぶた手術の時、同時に挙筋腱膜短縮術を行い、目の開きをはっきりさせる手術です。
眠たそうな目の印象を改善し、視野も広がり表情を明るくするばかりか、肩こりにも効果があります。
眼瞼下垂のある方やまぶたをパッチリと開けたい方に効果的です。
二重まぶたが重そう、暗い印象になりがちな目つきにも対応します。
眼瞼下垂とは、上眼瞼が垂れ込む状態をいいます。
主に後天性のものが多く、挙筋腱膜の機能の低下で起こります。なお、眼瞼下垂には神経原性と腱膜性があります。いずれも挙筋腱膜の短縮により改善します。さらに、余剰眼瞼皮膚の切除により、効果が高まります。
眼瞼下垂症の診断方法をこのページの下部に掲載しますので、参考にしてみてください。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の手術の欠点と利点
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)のメリット
眼瞼下垂手術のメリットとしては、眼瞼下垂の症状が良くなると、頚を後屈する姿勢が良くなり、肩凝りや眼精疲労が改善します。
また、眼瞼下垂を修正した目は、ぱっちりと大きく見えます。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)のデメリット
眼瞼下垂(挙筋腱膜短縮術)のデメリットは、目立たないとはいえ傷跡が残ることです。
また、十分な効果を上げようとすると、瞼が閉じにくくなることがあります。いわゆるドライアイにも成りやすいことです。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の手術時間と術後経過
眼瞼下垂の手術は、デザインの時間を含めて2時間程度です。
抜糸は、1週間後に行います。
眼瞼下垂の手術(挙筋腱膜短縮術)での腫れは、内出血の色や大まかな腫れが退いてくるのに、術後2週間くらいかかります。その後、とりあえず落ち着いたと感じられるには、1~2か月が必要です。
目を閉じた時、切開の痕が赤黒く線状に見える期間がありますが、自然になるのには6ヵ月程度も要することがあります。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の術後経過とアフターフォロー
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の術後1時間ほど冷やしながらお休みいただいた後、ご帰宅できます。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の手術当日は、眼鏡または薄めのサングラスをご用意下さい。
洗顔洗髪は、眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の翌日から可能です。洗顔後、1日数回、処方した消毒液、点眼薬、眼軟膏で傷の処置をして下さい。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)での通院は、術後翌日に傷のチェックを行います。1週間後に抜糸をします。その後、1~2ヵ月後に状態観察、3ヵ月後にデザインチェックを行います。
術後、やや赤く腫れた感じの目頭の状態が少々続きますが、あわてず、落ち着くのを待ちましょう。
お化粧は、抜糸後すぐに行っても構いません。
コンタクトレンズのご使用は、抜糸後から可能ですが、一度装着してみて問題がなければ続けてご使用ください。
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の詳細情報
施術時間 | 2時間程度です |
---|---|
施術後の通院 | 手術翌日に傷のチェック。1週間で抜糸。1~2か月後に状態観察、3か月後にデザインチェック |
腫れについて | 術後2週間程で内出血の色やおおまかな腫れが退きます。落ち着くまでは1~2ヶ月で、傷の赤みがとれるのに6ヶ月程度要します。 |
カウンセリング当日治療 | 可 |
入院の必要性 | 不要 |
麻酔 | 局所麻酔 |
洗顔・洗髪・シャワー浴 | 手術翌日から可 |
リスク(合併症・副作用 等)
- 感染
- 細菌やウイルス等による炎症。
- 血腫
- 術後、皮下や臓器からの出血が起こり、血液が貯留することです。
- 出血
- 術後やや多い量の出血を見ることです。
- 内出血
- 術後概ね起こる皮下の血液の組織への浸透で、自然に吸収されます。
- 瘢痕(創跡)
- 全ての皮膚切開創は、多少の傷痕が残ります。肌質的に目立つ人もいます。
- 肥厚性瘢痕(ケロイド)
- 傷痕の中でも、膨らみや硬さが強いものです。原因は、遺伝性のため術前には防御することができません。ただし、治療法がございます。
- 色素沈着
- 瘢痕の一つですが、色素(メラニン)の沈着が主な原因です。
- アレルギー
- 薬剤が原因のものが多いのですが、金属やテープ等でも発症することがあります。
- 予定形態との差
- なるべく患者さまの意見は取り入れるようにしますが、完全な表現は無理がある場合があります。
- 微妙な左右不対称
- 人間の体は左右不対称であるため、手術後にも左右不対称は起こりえます。
- 重瞼線の消失、曖昧化
- 眼瞼外反症
- 重瞼幅の大きさの不適当
- 眼瞼下垂
- 眼瞼下垂の症状が残存することがあります
- 閉眼機能障害
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術)の手術費用
項目 | 治療内容 | 金額 (消費税込) |
---|---|---|
眼瞼下垂 | 550,000円 | |
+睫毛上ふくらみ取り加算 | 110,000円 |
症例1コンタクトレンズ使用
コンタクトレンズ使用を使用していて、近年徐々に起こった眼瞼下垂の症例です。
他院で切開重瞼の施術を受けた後、右側に眼瞼下垂症状が強くなったようです。また、二重幅も広すぎたため狭く修正を希望された患者さまです。
この症例の価格
健康保険適応
この症例のリスク・副作用
感染 血腫 結膜炎 角膜炎 予想外重瞼線、重瞼線の消失、瘢痕、眼球乾燥症、閉眼障害
症例2他院での二重瞼切開法の修正と眼瞼下垂の改善
他院で二重瞼の手術をうけたのですが、左右差と右側の眼瞼下垂が目立ってきました。この修正を希望されました。また、重瞼線の上の皮膚の弛みを改善し、あっさりした二重まぶたを希望されました。右側の挙筋腱膜の前転を行い眼瞼下垂を修正し、眉下皮膚切除を行いました。
この症例の価格
眼瞼下垂手、切開重瞼、眉下皮膚切除、モニター 79.2万円(税込)
この症例のリスク・副作用
感染、血腫、結膜炎、角膜炎、予想外重瞼線、重瞼線の消失、瘢痕、眼球乾燥症、閉眼障害
症例3腱膜性眼瞼下垂
数年前から両側の眼瞼下垂を来していました。視力の問題や首肩凝り症状がでてきたため、眼瞼下垂手術を希望されました。
この症例の価格
健康保険適応
この症例のリスク・副作用
感染、血腫、結膜炎、角膜炎、角膜炎、予想外重瞼線、重瞼線の消失、瘢痕、眼球乾燥症、閉眼障害
眼瞼下垂手術(挙筋腱膜短縮術短縮術)のポイント
- 挙筋腱膜短縮術短縮術はきわめて繊細な手術ですので、形成外科専門医や眼科専門医に相談しましょう
- 挙筋自体が機能しているか確認します
- 挙筋の位置を確かめ、奥まで十分これを露出します
- 挙筋を再縫合する場所は、瞼板の上方やや前よりとします
眼瞼下垂手術の予定切開線
挙筋腱膜の露出
皮膚切開で眼輪筋を切開(一部除去することもある)し瞼板前の挙筋腱膜を露出すします。上方に眼窩隔膜に包まれた眼窩内脂肪が覗けます。
挙筋腱膜の短縮
瞼板前に付着する挙筋腱膜を切開しその下を剥離します。
続いて挙筋腱膜を下方に伸展し(前転)瞼板に仮固定します。この時点で患者さまに目を開けてもらいてもらい眼瞼下垂の修正を確認します。
皮膚を縫合し重瞼線を調節して手術を終了します。
筋膜移植術
挙筋が全く動かない場合、挙筋前転術は無意味になります。
そこで、挙筋が全く動かない眼瞼下垂症の場合は、筋膜移植術を行います。
筋膜移植術では、側頭部あるいは大腿部の筋膜を採取し、これを上眼瞼に移植します。または、ゴアテックス人工筋膜を移植します。
筋膜の移植によって、前頭筋の力を瞼板に伝え、瞼を挙げるようにするのです。
筋膜移植術は、側頭部あるいは大腿部より採取した筋膜を5mm幅程の帯状にしたものを2本用意します。
上眼瞼眼輪筋の下にトンネルを作り、そこに採取した筋膜を通し、瞼板に対面を前頭筋に逢着します。
これにより、前頭筋の作用が瞼板に伝わるわけです。
眼瞼下垂筋膜移植術の術前術後
右目は、挙筋腱膜短縮術。左目は、筋膜移植術による眼瞼下垂の手術の術後です。
両目ともパッチリと目を開けられるようになりました。
上記症例は、先天性の眼瞼下垂症の症例です。幼少時に糸による仮釣り上げ手術を受けています。
今回は、根治的に大腿から筋膜を採取し左側の瞼板を筋膜で前頭筋で釣り上げました。
右側は、左側に合わせ切開重瞼を行いました。
この症例の価格
片側 275,000円(税込)(保険適応の場合あり)
この症例のリスク・副作用
感染、血腫、瘢痕、瘢痕拘縮、色素沈着、左右差、予定形態との差、眼瞼外板、眼瞼下垂の存続、閉眼障害
眼瞼下垂の診断
最近、上まぶたの機能が正常にもかかわらず、「私、眼瞼下垂じゃないかと思うのです。」という方が増えています。
恐らくマスコミでの眼瞼下垂についての報道が増え、なんとなく自己判断してしまう方が多いのだと思います。
しかし、日本人は瞼裂(まぶたの開き)が狭いため、それを眼瞼下垂と取り違えて判断しやすいのも一因でしょう。そこで、眼瞼下垂の正確な診断とはどういうものかご紹介いたします。
挙筋機能判定1
眼瞼挙筋は、上眼瞼を挙げる時に最も重要な働きをしている筋肉です。この筋力から眼瞼下垂の程度を判定します。
まず診察の際、患者さまが第一眼位にあることを確かめます
第一眼位とは、患者さまが背筋を伸ばしきちんと椅子に座り、前方に視線を向けた状態です。視線は床と平行になるようにします。
次に頭を動かさず、第一眼位から最も下方を見つめます
この時の眼瞼の位置が基本線(0点)になります。
続いて頭位をずらさず、おでこの筋肉(前頭筋)を上げないようにして、上まぶたを開け、最大上方位に視線を上げます
この時の眼瞼の位置を計測します。基本線(0点)から、この線までの長さ(mm)が挙筋機能として評価されます。
挙筋機能は、次のように判定されています。
挙筋機能(mm) | 判定 |
---|---|
15mm以上 | 正常 |
15mm~8mm | 軽度眼瞼下垂 |
4mm以下 | 高度眼瞼下垂 |
挙筋機能判定2
第一眼位で前頭筋(おでこの筋肉)を緩めた状態による上眼瞼縁の位置の判定では、見た目の眼瞼下垂を大まかに診断できます。
上眼瞼の位置 | 判定 |
---|---|
瞳孔上縁より上 | 軽度眼瞼下垂 |
瞳孔中心線より上 | 中度眼瞼下垂 |
瞳孔中心線より下 | 高度眼瞼下垂 |
挙筋機能判定から推察される挙筋腱膜の切除(前転)量
挙筋機能が0である場合 | 上横走靭帯つり上げ術 (whitnall's sling) |
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4mm以下 | 挙筋短縮量12~15mm |
4~8mm程度 | 挙筋短縮量10~12mm |
8~10mm程度 | 挙筋短縮量8~10mm |
10~12mm程度 | 挙筋短縮量6~8mm |